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マンション排水管の防音対策と騒音問題
マンション生活において、上階からの排水音は意外と気になる騒音の一つです。「ゴー」という水の流れる音や、「コポコポ」という気泡の音、時には「ドン」という衝撃音が響いてくることもあり、これは排水管の構造と防音対策が大きく関係しています。マンションの排水管は、複数の住戸からの排水をまとめて流すため、水の量が集中しやすく、それに伴って音も大きくなりがちです。特に、排水管がコンクリートスラブの下を通る「スラブ下配管方式」の場合、排水管が下階の天井裏に露出するため、上階の排水音が直接下階に伝わりやすい傾向にあります。防音対策としては、まず排水管そのものに遮音材や防振材を巻きつける方法があります。ゴム製のシートやグラスウールなどの吸音材を配管に密着させることで、音の発生源での振動を抑え、外部への音漏れを軽減する効果が期待できます。また、配管を固定する金具にも防振ゴムを挟むことで、躯体への振動伝達を防ぐことができます。さらに、排水管を収納するパイプスペース(PS)の壁に遮音性の高い素材を使用したり、PS内部に吸音材を設置したりすることも有効な防音対策です。近年建設される高層マンションでは、より高い遮音性を確保するために、排水管自体に特殊な防音構造を持つ「防音排水管」を採用したり、二重床・二重天井構造にして配管スペースを確保し、防音対策を施したりするケースが増えています。しかし、既存のマンションでこれらの対策を後から施すのは、大がかりな工事となり費用も高額になるため、容易ではありません。もし排水音に悩まされている場合は、まずは管理組合や管理会社に相談し、マンション全体での対策を検討してもらうことが重要です。個々の住戸でできる対策としては、排水口に防音カバーを設置する、排水時に水を少量流しながら汚水を排出する(急激な水流を避ける)、などが挙げられます。集合住宅での快適な生活のためには、排水音の適切な管理が不可欠と言えるでしょう。